江戸から明治へ。日本が大きく変わろうとしていた頃、日本競馬の“歴史”は始まりました。1861年、横浜にて日本初の“競馬”が行なわれ、その翌年には横浜レースクラブ（後の日本レースクラブ）が発足。1866年には横浜市根岸に「根岸競馬場」が誕生しました。天皇賞の歴史はここから始まります。明治天皇から賜った優勝杯をかけて「エンペラーズカップ」が、1905年に行なわれました。その翌年には東京競馬倶楽部で「帝室御賞典競走」が開催されます。当時はJRAのような統一した団体はなく、横浜・東京のほか、札幌、函館、福島、新潟、中山、京都、阪神、小倉、宮崎にそれぞれの競馬倶楽部が存在していました。よくよく考えると、現在のJRAの競馬場は、当時の競馬倶楽部が存在していた場所にあるんですね。
　この「帝室御賞典競走」は、札幌、函館、福島、阪神、小倉でも行なわれていたのですが、1923年に制定された競馬法が、1936年に改正されます。翌年、全国11の競馬倶楽部は統合され、日本競馬会として国営競馬が始まるのです。そして「帝室御賞典競走」は「帝室御賞典」と名称を変え、春には阪神、秋には東京で開催されました。実質的な天皇賞の第1回はここから始まります。
　 第1回は2600ｍでしたが、第3回から古馬戦3200ｍ競走に変わります。そして第二次大戦後の1947年は「平和賞」という名前で開催され、同年秋の第16回から「天皇賞」として現在に至ります。開催地も春が京都、秋が東京と、現在と同じ場所で行なわれるようになりました。
　 天皇賞は以前、優勝馬は出られないという規制がありました。その規制が取り払われたのが1981年、つまり、ＴＴＧ世代の頃はまだ出られなかった、ということですね。さらに1984年には秋の天皇賞を2000ｍに短縮、最初の「2000ｍ天皇賞」を勝ったのはあのミスターシービーです。

　さて、天皇賞・春は過去に65回施行されていますが、1944年の戦時中は能力検定競走であったため、実際は64回です。そのうち、1番人気で勝ったのは35回。2番人気は12回、3番人気は6回、4番人気は5回、5番人気以下は6回。圧倒的に1番人気が強いレースです。過去20年を振り返ってみても1番人気で勝ったのは9頭。2番人気は5頭、3番人気は3頭、4番人気以下は2回、5番人気以下は2回、いわゆる去年と一昨年ですね。2桁人気にしてみたら、過去64回のうちたったの2頭しかいません。“気まぐれジョージ”こと、エリモジョージです。

よく言われている、菊花賞との相性。菊花賞の連対馬は11頭に上ります。

そして、1番人気以外が勝った場合を見てみると、意外と“危険な1番人気”が出てきます。
クシロキングが勝った1986年は、前年の菊花賞2着で2200、2400を勝って来たスダホーク。
イナリワンが勝った1989年は、2走3走前のステイヤーの重賞を勝ち、阪神大賞典で2位失格となったスルーオダイナ。
ライスシャワーが勝った1995年は、前年の菊花賞3着、ステイヤー重賞を2連勝した、“ダンス一族”の長男・エアダブリン。
ヒシミラクルが勝った2003年は前走阪神大賞典勝ちのダイタクバートラム。
イングランディーレが勝った2004年は“4強”のリンカーン。

何か、押し出されるように1番人気になった感じです。
実際にそうそうたるメンバーですよ、天皇賞馬っちゅうのは。
シンボリルドルフ、ミホシンザン、タマモクロス、イナリワン、スーパークリーク、メジロマックイーン、ライスシャワー、ビワハヤヒデ、サクラローレル、マヤノトップガン、スペシャルウィーク、テイエムオペラオー、マンハッタンカフェなどなど……。
今回、クシロキングやタマモクロスのような“春の上り馬”は……、サクラセンチュリー!?
Ｇ１馬はたったの４頭。ザッツとミラクルとグルーヴとマカイ。
Ｇ１馬がやっぱり強いのならば、勝つとしたらやっぱりヒ……!?

でもねー、去年の有馬もそうだったけど、あんまり勢力図も変わらずに“勝ち抜け”状態。
そしたら、去年の上位馬だからシ……!?